学校であった怖い話
>七話目(岩下・福沢)
>T12

僕は、取りあえず踊るしかないと判断した。
しかし……、何を踊ればいいんだ。
僕が知っていて、しかも踊ることができる踊りは……。
……コサックダンスしか知らないぞ。
し、しかたない。

「ちゃらちゃらちゃららららー、ちゃちゃんちゃちゃちゃ!!」
僕はメロディを口ずさみ、一人で踊り始めた。
もう、恥ずかしいなんて思っていられない。
そして、僕は部室のテーブルの周りをぐるぐるとジャンプして回った。

僕は、風間さんを横目で見る。
風間さんが、渋い顔で僕を見ている。
……大丈夫だろうか。

僕の踊りが気に入らなかったのだろうか。
けど、なかなかこれはクセになる踊りかもしれない。
さっきから、もう五分ほどこうやって踊ってるがあまり疲れを感じない。
風間さんは、急に手を大きく叩いた。

「うむ、素晴らしい!! 君が、こんな素晴らしい踊りが踊れるなんてしらなかった。こんなに、すごいダンサーが地球にいるなんて。僕は目からうろこが落ちる思いだよ」
そういうと、風間さんはワッペンのような物を取り出し、片手をあげた。
一瞬、ワッペンが光った。

「うわっ!! ちょっと!!」
僕は、いつのまにかガラス張りのポットの中に入っていた。
特殊な材料でできているのか。
僕が叩いても蹴っても割れない。

風間さんは笑っていった。
「スンバラリア星には、宇宙でも有名な舞踏家の集団がいるんだ。総称して、スンバラリアダンサーブラザーズっていうんだけどね。スンバラリア星を基点として、いろんな星で巡業するんだ。君もその一員として活動してほしい。

そこには、いろんな星の人たちがいるんだ。地球人はまだいないんだよ。どうせこの星は、スンバラリア星人に侵略されるんだ。ダンサーになって活躍したほうが、君のためだと思う」

ちょっと待った。
僕がいつそんなことをOKしたというんだ。
勝手に決めるなー!!
風間さんはワッペンに向かっていった。

「こちら地球の派遣部隊。これから地球の有能なダンサーをスンバラリア星へ転送する。
スンバラリアダンサーブラザーズへの手続きを頼んだぞ。グレイトなダンサーだ、びっくりするなよ」

もう、絶望的だ。
僕が助かる手段はない。
ここは開き直って、スンバラリア星でダンサーとして活躍するのもいいかもしれない。
そして、風間さんは微笑みながら右手をあげた。

「転送!!」
白い光に包まれた僕は、スンバラリアへと旅立つ……。
そうだ、これから僕はビックなダンサーになって宇宙の人気者になってやる。


       (新聞部エンド)