学校であった怖い話
>七話目(岩下・福沢)
>U11

いちかばちかだ。
やってみるしかない。
僕はもう、夢か現実化かの境目が消えかけていた。
風間さんに聞いてみた。

「これから、長官がデベロンダッタ星人だったってことを証明してあげるよ。僕たちスンバラリア星人の体液は何色だったか覚えているよね?」
風間さんは素直に答えた。

「緑色だよ」
僕は、おもむろに部室の机からカッターを取り出し、長官の手首を切った。
どくどくと体液が流れた。

……ピンク色の体液だ。
「ほーら、僕がいった通りだろ。こいつはデベロンダッタ星人だったのさ」
僕はやけくそで、はったりをかましたつもりだったが……。
本当に、長官がデベロンダッタ星人だったなんてできすぎている。

「いや、こいつはデベロンダッタ星人に似ているが、ニャリン星人だ。
……まあ、どちらにせよ、長官はにせ物だったんだからな」
風間さんは僕にいった。
危なかった……。
ニャリン星人だったのか。

僕は聞いた。
「本当の長官は?」
「ああ、たぶんこいつに殺されたんだろう。…………………………僕に一つ提案があるんだが。君が新しい長官に就任したらどうかと思うんだ」
風間さんは僕にいう。

「ちょっと、まってください。そんな、急すぎますよ。僕が長官なんて似合わないよ」
「いや、君がニャリン星人を殺してくれなかったら、僕たちはどうなっていたか……。僕が、スンバラリアの大臣に今回の件をすべて報告しておくよ。次期長官は、君に決まったも同然さ。

そうと決まったら、すぐスンバラリア星に帰ろう。新長官就任式の準備だ。さあ、我らが故郷スンバラリアへいざかえらん!!」
そして、風間さん……、いいや、スンバラリア星人はワッペンのような物を取り出すと片手をあげた。

一瞬、空が光った。
僕たちはまばゆい光に包まれて、まだ見ぬ星へと旅立つ……。
お父さん、お母さん、僕はスンバラリア星人の長官として生きることになりました。
親不孝な僕を許して下さい。


       (新聞部エンド)