学校であった怖い話
>七話目(岩下・福沢)
>X9

「ふざけるなー! どこまで僕をばかにしたら気が済むんだ!! 最上級生だからって、いばらないでーーーー!!」
僕は、そういうと風間さんの胸ぐらをぐいとつかんだ。
「うおおぉーーーー!!」
風間さんが急に雄叫びをあげた。

僕はびっくりして飛びのいた。
するとどうだ、風間さんとアンモナイト野郎は、妖しい光を体から出し始めた。
そして、彼らの筋肉は盛り上がり、びちびちと服を引きちぎっていく。

風間さんの顔の皮膚もやぶれ、アンモナイト野郎と同じ頭が出てきた。
……これは、日野さんのイタズラじゃないぞ。
いくら日野さんでも、冗談でここまでの特殊メイクはさすがにしないと思う。

そこには、筋肉もりもりのアンモナイト野郎……、いや、スンバラリア星人が二人立っていた。
「僕たちは、自分に危険が迫ると戦闘体形に変身するのだ。お前はスンバラリア星人ではないだろう? お前は、スンバラリア星人になりすましたスパイか!? やっぱりそうか!! スパイとわかった以上、死んでもらおう!!」

前・風間さんは、長官と共にジワジワと僕に近づいてくる。
口のヌメヌメした触手を伸ばしながら……。
その時、白い光の線が僕の両ほほをかすめるように、ものすごい勢いで通り過ぎた。
それは、二人のムキムキスンバラリア星人に当たった。

しゅうしゅうと音をたてながら、スンバラリア星人が溶けていく。
こげ臭い匂いが、辺りに立ちこめた。
僕は、恐る恐る後ろを振り返る。
「こ、これは!?」

そこには、レーザーガンのようなものを持った美青年がたたずんでいた。
なにかポーズを取っているようだ。
青年は、ぴちぴちの銀のラメ入りのウェットスーツのような服を着ている。
髪の毛は、腰まである紫のサラサラストレートヘアーだ。

彼の瞳も薄い紫色をしている。
「大丈夫かい? 安心してくれ、僕は宇宙警察の者だ。以前、スンバラリア星人が地球侵略をくわだてているという情報が入手されてね……。心配で俺が立ち寄ったらこうさ。もう少し遅かったら、君も地球人も殺されていただろう。本当に、間にあってよかった。じゃ、俺はこれで」

そういうと、その青年は体から光を発した。
そして、光の玉に変形すると部室の窓を割って飛び去っていった……。
二人のスンバラリア星人は跡形もなく消えていた。
地球は、あの青年のお蔭で危機を脱することができたわけだ。

……でも。
これは、ひょっとして全部僕の夢だったのかもしれない。
いいや、そうだ……。
ふと、僕は窓の外を見る。
空には、満天の星がまたたいていた。


       (新聞部エンド)