学校であった怖い話
>七話目(細田友晴)
>C27

僕は、七人と答えた。
彼女の仮面を支えていた指が、ゆっくりと離れていった。
そして、彼女はいった
「七人……。七人ね。あなたは、人の話をきちんと聞いてるの? うそつき……」

「うわーーーーっ!」
突然、僕の体が宙に浮いたかと思うと、そのままものすごい勢いで天井にたたきつけられた。
まるで、引力が天井にあるようにまっ逆さまだった。

さっきのたたきつけられた衝撃で、背中を思いきり打ってしまったようだ。
そして、僕の真下で仮面の女が見上げていた。

僕は、その女が仮面の奥で笑っているのがわかった……。
「結局……お前も……口先……だけだ……な……」
仮面の女の声は、急に伸びたテープのようにトーンが低くなった。
「お前……、この六人の……地獄への……案内人……となれ……。やっと……私は救われ……る」

……?
救われる?
救われるってどういうこと?
この六人のってどういうことだ?
六人て、まさかこの話に集まってくれた人のことか?

みんなが死んだ?
……!?
みんなが消えたのは、死んだということ!?
まさか……。

「この……六人は……最初から……選ばれて……いた。……それも……また……運……命。さあ……、みんな……お前の……案内を……待っている……」
仮面の女はいった。
仮面の目の辺りにある、細い二本の線の奥で彼女の目が見えたような気がした。

「うわっ!?」
僕は次の瞬間、天井が水の波紋のように揺れているのを背中で感じた。
僕の体は、だんだん天井に沈んでいく。
もがけばもがくほど、僕は天井の下に下に。
彼女から見れば、僕は天井の上に上に……。

沈んでいった僕の体は、砂の粒子のようにサラサラと消えていくようだ。
そして、僕は意識しか残らなくなるのだろうか?
……意識さえも残らないのでは?
肉体がなくなると、僕はどうなってしまうのだろうか。

「心配……しない……で……大丈夫……」
仮面の女は僕に手を振っている。
僕の体はほとんどが天井に沈んでかろうじて顔だけがこの空間に残っている。
その僕の顔が、最後に天井に引き込まれるその瞬間……。

はっきりと僕は見た。
仮面の女が、その仮面を取って僕を見上げていた。
天使のような輝く顔をして……。


       (ドクロエンド)