学校であった怖い話
>七話目(細田友晴)
>2B1

◆仮面に囲まれる

……まあ、いいわ。
そんなことは、もうどうでもいいの……。
私は、あれから救われることはなく学校の中をさまよっていた。
そして、私は気づいたのよ。
私と同じような境遇の子がたくさんいることを……。

そういう子は、成仏できずに私のようにその辺をさまよっていたわ。
死霊だけじゃなく、生き霊もいたのよ。
私たちは、いつのまにか寄り集まるようになった。
ふふふ。
笑っちゃうでしょ、類は友を呼ぶっていうのかしら。

「!?」
その時、彼女の後ろからちょこんとなにかがのぞいた。
……女の子?
その子も仮面をつけていた。
「うっ!?」
仮面の女の後ろから、仮面をつけた男やら女やらが何人も現れた。

そして、彼女を先頭にしてみなこちらを向いて僕を見ている。
……この子たちは、みんな私と同じような結末を迎えたのよ。
私たち、かわいそうなの……。
ねえ、かわいそうだって思うでしょ?

僕は、黙って彼女のいうことを聞いていた。
彼女たちが被害者だっていうのはわかる。
だけど、それで道連れに何人もの人を死に追いやるのはどうかな……。
ふと気がつくと、僕は仮面をつけた子たちに取り囲まれていた。

……あなたの考えていることはお見通しよって、最初にいわなかったっけ。
ふふふ、結局あなたも他の人とは変わらないのよ。
あなただけは、私たちのことをわかってくれると思ったのにね。

そうしたら、今度は本当に救われたかもしれない……。
この、人間界でもない霊界でもない世界から。
きっと私たち、間違いだってわかっていても同じあやまちを繰り返すのよ。
……この世界にいる限りはね。

だんだん、仮面の子たちが僕に近づいてきた。
僕を取り囲む輪が、だんだん狭くなっていく。
一歩一歩、そしてまた一歩……。
もしかしたら、僕が彼女たちを救うことができたかもしれないのに。

彼女たちを止めることができただろうに。
今はもう、彼女たちにこの身をゆだねるしかないのか……。
そして、僕に彼女は語りかける。
……きっと私たち、間違いだってわかっていても同じあやまちを繰り返すのよ。


       (ドクロエンド)