学校であった怖い話
>四話目(岩下明美)
>A10

二人は、桜の精霊に応じたの。
そして、二人は口づけした。
その時。
「ぎゃあ!」
「きゃーっ!」

突然、土の中から四本の手が伸びてきたの。
その手は、二人の足首をがっちりとつかんだわ。
二人が驚いて足元を見ると、土がもぞもぞと盛り上がって、その中から二つの顔が出てきた。

それは紛れもなく、首吊り死体で発見された二人の顔だったわ。
「これが、責任を取るということだ」
桜の精霊は冷たく言い放った。
そして、二人はそのまま土中に引きずり込まれていった。

「お前たちは、永遠の愛を誓った。
しかし、永遠とはもろく、はかない。
永遠のときを保ち続けたいのなら毎年一人ずつ私に生けにえを連れてこい……」
それが、二人が最後に耳にした言葉だった。
坂上君、土の中から手が出てきたのは、今あなたのいる辺りよ。

その辺から、出てきたの。
うふふふふ……。
これが、この木にまつわる本当のお話よ。
今も、広岡さんと折原さんの二人は、永遠の愛を保ち続けるために、毎年一人ずつ生けにえを差し出しているのよ。

さあ、今年は誰がなるのかしら?
坂上君、あなたかもしれないわね?
1.そんな話は嘘だという
2.もう部室に戻ろうという