学校であった怖い話
>四話目(岩下明美)
>R2
ふふふ。
どうしたっていうの。
もう怖くなったの?
本当に臆病なのね……。
最初に私に二つ約束してくれたでしょう?
もう忘れたの?
でも、あなたはこの話を中断して最後まで聞こうとしなかった。
覚えていないの?
あの約束を破ったってことは、この桜の……、生けにえになることを承知したことになるのよ。
嘘だっていうの?
いいえ、嘘なんかじゃないわ。
ある日、私は夢を見たのよ。
桜の花が暗闇に咲いていて、声だけが聞こえてきたわ。
「お前は、この桜の生けにえに選ばれた。喜ぶべきことだ。しかし、お前がどうしてもそれを拒むなら、逃れる方法を一つだけ教えよう。まず、誰かと二つの約束をするのだ。一つは、その場所を動かないこと。
もう一つは、絶対に話を中断しないで、最後まで聞くこと。その二つの約束を交わしてから、これから話す話をあの桜の下で、そいつに話せ。もし、そいつがその約束を破ったり、途中で話を聞きたくないといい出したら、その場でお前の身代わりになってくれる。いいな……」
と……。
そして、もちろんあなたが約束を守ったら、私は助からないってことも……。
ふふふ、逃げようたってムダよ。
もう、あなたの体の自由はきかないわ。
ほら、見てごらん……桜の根が、もうあなたの足元をがっちりとつかんで離さないでしょう?
ムダなあがきは、やめなさい。
運が悪かったわね。
はっきりいって、身代わりは誰でもよかったの。
かわいそうなあなたを、私が哀れんであげる。
そして、ありがとうをいうわ。
大丈夫よ、心配しないで。
あなたが死んでしまったら、誰もあなたの存在を知らなくなるんですもの。
あなたの存在自体が、消えてなくなるのだから……。
……だんだん眠くなってきたのね。
そして、意識が遠くなっていくのがわかるでしょう?
もう、さよならね。
あなたのことは、忘れないわ。
あら失礼、これはちょっと無理な話ね……。
ふふふ。
そしてすべてが終った
完