学校であった怖い話
>七話目(風間・岩下)
>S7

「……そう、私の最後のお願いを聞いてもらえないんだね。わかった。さよなら!!」

元木さんはそういうと部室から出ていった。
彼女が廊下を走る音が聞こえている。
元木さんて、情緒不安定で思い込みの激しいタイプらしい。
ああいう女の子には、絶対に引っかかりたくないね。
そして、僕は部室を見回した。

誰もいない部室……。
僕は、みんなと一緒にこの部室を出るつもりだった。
それが、彼女の突然の乱入により、それもできなくなってしまった。
夜の校舎ははっきりいって怖い。

僕一人で帰らなければ。
ふと、寒気がした。
いいや、ここで怖いことは絶対に考えない。
いったん考えたら、その怖いことが僕の中いっぱいに広がって消えてくれないことはわかっている。

そういえば、怖い話をすると霊が集まってくるっていうが本当だろうか?
しまった!
考えないって思った矢先にこうだ……。

本当に霊が集まるとしたら、ここは霊だらけということになる。
……いや、迷信さ。
でも、ひょっとしたら今、霊が僕の後ろにいるかもしれない。
そいつが、僕の肩の上にあごを乗せて笑っているかもしれない。
ほら、こうやって振り向くと……。

「ぎゃーーーーーー!!」
僕は叫んだ。

「うわーーーーーーっ!! おどかすなよ! びっくりさせるなよ、ばかやろー。心臓止まるかと思ったじゃねえか」
えっ?
ひ、日野さん?
僕は、全身の力が抜けた。

「あれー、さすがにみんな帰っちゃったんだ。いやー、七話目を話すやつが見つからなくてさ。せっかく俺が七話目を話そうと、急いで用事を終わらせてきたのに……。まあ、仕方ないか」
日野さん、僕がしらない間にあなたが後ろにいたことが、どの話より一番怖かったです……。

「さあ、じゃここにいつまでも仕方ないし、帰ろうぜ! そうだ、ファミリーレストランで、なんか食っていくか。腹へったなー」
日野さんは、僕のかばんをつかんで先に行こうとした。
「あっ、待ってくださいよー!!」
僕は、いい先輩を持ってしあわせものだ……。


       (新聞部エンド)