晦−つきこもり
>二話目(山崎哲夫)
>AH1

◆一話目が泰明で、風間の話だった場合の始まり方


「いやぁ、すっきりした……」
あ、哲夫おじさん、戻ってきた。
哲夫おじさんったら、話が終わった途端に、トイレに行ってしまうんだもの。
その間に、次は哲夫おじさんに話してもらうって、決めておいたの。

哲夫おじさんは、自分が指名されて、とてもうれしそう。
「いや、今の話に出てきた風間だけどな。自分も、知っているんだよ。風間って奴……。そうか、じゃあ、その時の話をしてあげよう」

哲夫おじさんって、自分では『冒険家』を名のっている変わった人なの。
だけど、私には、ただのぶらぶらしているおじさんにしか見えないわ。
ここにいるみんなも、そう思っているんじゃないのかしら……。

それに哲夫おじさんったら、まだ三月だというのに、タンクトップなんか着ているし。
冒険家の人って、みんなこんな感じなのかしら。

……それじゃあ、話を始めよう。
この辺も、相変わらず田舎だよな。
葉子ちゃんもそう思うだろ?
これからする話も、ちょうどこんな感じの片田舎に行ったときに体験した話なんだ。
葉子ちゃんは、田舎はどうだい?

田舎っていいよな。
田舎には、どこにでも冒険の舞台がある。
自分は、子供の時から自然の中を走り回るのが、好きだったんだ。
葉子ちゃんも、そんな経験があるだろ?
1.ある
2.ない