晦−つきこもり
>二話目(鈴木由香里)
>Q7

やだなぁ、葉子。
自分だけ良い子になろうとするんだから。
それとも、もう忘れちゃった?
私と、二人で遊んだ日のことを。
やっぱり、こんな春先のことよ。

あれは、どこの庭だったのか……。
私と葉子とで、遊んでた時に、冬眠から覚めたばっかりの、蛇を見つけたじゃん。
まだ、そんなに暖かくない季節だったから、蛇の動きも鈍臭かったよ。

「可哀想、寒くって動けないんだね」
って、葉子ったら、家からやかんを持ってきて、蛇に熱湯をかけてたじゃん。
あの時の葉子にとっては、親切心からだったんだろうけど、端から見れば、ものすごく残酷な行為だったよ。

蛇は、熱湯の中で、苦しみ、のたうちまわってたもん。
それを見て、葉子はにっこり笑ってさぁ、
「よかった。蛇さん、あんなに嬉しそう」
……だもんね。
怒るわけにもいかないし、私、複雑な心境だったなぁ。

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