晦−つきこもり
>三話目(藤村正美)
>O5
……そうでしょうか。
実は、あれ以来、彼女の霊が出るようになったんですの。
口から血を流し、目をギラギラさせて近づいてくる看護婦の幽霊が……。
片手で点滴用のスタンドを引いていて、近づいてくると、キュル……キュル……と車輪の音が聞こえるそうですわ。
私は見ていませんけれど、とても恐ろしい光景だそうです。
彼女が幸せなら、そんな風にさまよったりしないと思いますわ。
それならば、やっぱり彼女は……。
……いえ、やめておきましょう。
私の話はこれで終わりですわ。
お次の方、どうぞ。
(四話目に続く)