晦−つきこもり
>四話目(真田泰明)
>V4

◆1段階目

僕の体を悲鳴が通り過ぎ、僕の体を切り裂いていった。
「あ、あの悲鳴だ……」
苦痛のあまりひざまずく。
その悲鳴は、古ぼけたテープに録音されていた悲鳴と、そっくりだった。
(いったい、どういうことなんだ)

傷口からは激しく血が流れだしている。
「急いで病院に行かなくちゃ……」
僕は立ち上がった。


◆2段階目

悲鳴に襲われた。
体に激痛が走る。
(早く、逃げなければ………)


◆3段階目

悲鳴に襲われた。
(いったい、あの悲鳴は何なんだ………)


◆4段階目

悲鳴に襲われた。
体が傷だらけだ。
痛みは麻痺してきている。
もう足に力が入らなくなってきた。


◆5段階目

悲鳴に襲われた。
目が霞んでくる。
かなり出血したようだ。
(いったい、どうしたらいいんだ………)


◆6段階目

悲鳴に襲われた。
出血がひどい。
歩くのもやっとだ。
(僕はもう死ぬのか………)


◆7段階目

悲鳴が轟いた。
僕の意識は、徐々に遠退いていく。

彼は次の日、死体で発見された。
この話は、彼のポケットに入っていたテレコの内容を整理したものだ。
北田君はいつもテレコを持ち歩いていた。
彼はその間そのテープを回していたんだ。

結局、あの夜の生存者は一人も居なかった。
いったい何だったんだろうか。
実はあのときの北田君のテレコに入っていたテープがここにあるんだけど、聞いてみるかい?
1.聞きたい
2.聞きたくない