晦−つきこもり
>四話目(前田和子)
>A1

ふうー。
みんな、いろんな話を知ってるのねえ。
すっかり背筋が寒くなったわ。
ねえねえ、ちょっと息抜きしましょうよ。
あのね、この前、良夫が学校でタイムカプセルを作ったのよ。

ほら、宝物かなんかを隠しておいて、何年も後で取り出すってやつ。
そういうのって、わくわくするわよね。
実はね、葉子ちゃんも、昔この家で何かを隠したことがあるのよ。
ふふ、そんな顔して。
覚えてないんでしょ。

今、ここにいる誰かと一緒に隠していたんだから。
何を隠していたのかは知らないけどね。
きっと、宝物だったんじゃない?
あるいは、未来の自分に向けてのメッセージとか。

小さい頃って、将来はああなりたいとか、こうなりたいとか、いろいろ考えるじゃない。
そんな作文や、昔描いた絵なんか見ると、すごく懐かしいわよね。
昔こんなことを考えてたのか……なんて思いながら、今の自分を振り返ったり。

もう少し未来の自分は、どうなってるのかなって考えたり。
どう、葉子ちゃん。
昔何を隠したか、知りたくない?
1.知りたい
2.知りたくない