晦−つきこもり
>四話目(山崎哲夫)
>K8
「絶対に連れていってね!」
……いまさら、『嫌!』とはいえないもんね。
「おお! やる気充分だな」
哲夫おじさんたら、なんだかとっても嬉しそう……。
ニコニコしながら私を見てるわ。
「葉子ちゃんが、こんなにまで冒険好きだったとは……! いやぁ、感激だなぁ。……よしっ、今度なんて待ってられない。明日の早朝には出発だ!」
「ええーっ!?」
……ちょっと待って! そんなの突然すぎるよ。
「がっはっはっは! そんなに喜んでもらえると、自分も嬉しいよ」
違うの! これは嬉しいんじゃなくって…………。
「今回の冒険は、きっとハラハラ、ドキドキ、うーんと楽しい物になるぞ! なんてたって、葉子ちゃんと一緒なんだからな」
……私は、泰明さんと一緒の方が楽しんだけどなぁ……。
「おしっ! 次の冒険の予定もたったことだし。これで、自分の話は終わりだ」
哲夫おじさんったら!
まだ話が途中なんじゃないの!?
「葉子ちゃん、さっさと次に行ってくれよ。明日は早いんだ。夜更かしできんからな」
……ああ、もう勝手にして。
(五話目に続く)