晦−つきこもり
>四話目(鈴木由香里)
>D5

「きっと、あきらめたのよ」
私は明るい声でそういったの。
なんだか由香里姉さんが、ひどく疲れてるように見えたから……。
「……だったらいいんだけどね…………」
由香里姉さんは、力なく笑ったわ。

気のせいか、顔色もあまりよくないような……。
「由香里姉さん……?」
私が声をかけた、その時……!!
<私の由香里お姉様よ……!!>
怒りのこもった女の子の声が、私の頭の中に響いたの。
今の声は何……!?
…………もしかして、由香里姉さんの話に出てきた女の子?

「じゃ、私の話はこれで終わるね」
そういって口を閉じた由香里姉さんの背後に、なんだか女の子の影が見えるようで、ちょっと怖い……。
きっと、私の気のせいなんだろうけど……。

「どうしたの? 葉子、次へ行こうよ」
……そうしよう。
きっと、気分も変わるはずよ。
じゃあ、次は…………。


       (五話目に続く)