晦−つきこもり
>四話目(藤村正美)
>K7

そう。
どうしても、わかってもらえないようですわね。
あなたたちが何といおうと、私には使命があるんです。
それも果たさず、一人の患者のために死ぬわけにはいきませんわ。

わかってくれなくて結構ですとも。
ああ、本当に不愉快だわ。
あなたたちのような人間に、私の真価がわかってたまるものですか。
私がいつも、どんなに献身的に働いているか、知りもしないくせに。

そもそも、おばあさまの七回忌だっていうのに、怖い話をするなんて無神経ですわ。
ああ、来るんじゃなかった。
おばあさまのためだと思って、わざわざ来たのに……。
私のやさしさと几帳面さが、あだとなったんですわね。

とにかく私、もうしゃべりませんことよ。
怖い話なんて馬鹿馬鹿しい。
話したければ、どうぞご勝手に!


       (五話目に続く)