晦−つきこもり
>五話目(前田和子)
>A3

「葉子ちゃん、コントやってんじゃないんだから。おとなしく聞いてよ」
和子おばさんは、私の服の裾をつんつんと引っ張った。
どうしよう。
なんだか、いやな予感がする。
この客間で、これからとんでもないことが起こりそうな気がする。

霊気っていうのかな。
それを痛いほど感じる。
「葉子ちゃん、私ね、今ちょっと、悩んでいるの」
……悩み?
和子おばさん、どうしたのかしら。
私の心配をよそに、和子おばさんは明るく話し始めた。

「社交ダンスの会の風間さんって、五十五才ぐらいでね。素敵な人よ。話題も豊富だし。それから、とにかく女性に優しいの。
一言でいえば、紳士。どう? ……そういう人、どう思う?」
1.すてきね
2.しびれちゃう
3.それって怖い話なの?