晦−つきこもり
>五話目(山崎哲夫)
>A4

そんなにはっきりいわれると、いくらなんでも傷つくぞ。
葉子ちゃん、思いやりを持った、優しい女の子でいてくれよ。
おじさんのお願いだよ。
じゃあ、話を進めるからな。

ショーンは、自分のクラスの優等生だった。
勉強もできたし、人望もあったんだ。
奴の親は大金持ちでな。
なんでも、寄付金をたくさんつんだとか。
特別に、一人で部屋を使っていたな。

まあ、優等生だったから信用されていたってのもあったと思うが。
一方自分は、ダメ生徒っていう感じだった。
勉強はからきしだし、授業を抜け出して外に出ることしか考えていなかったからな。
ショーンと仲良くなれるなんて、思ってもみなかったよ。

そんなある日だ。
授業を抜け出してカフェに行ったら、ショーンがお茶を飲んでいるじゃないか。
自分は、なんとなく声をかけられなかった。
ショーンが授業を抜けだしたはずはないとか、注意されるかもとか。

もしかしたらさぼりか? とか、いろいろ考えた。
それでジロジロ見ていたもんだから目があってしまってね。
苦し紛れに笑いかけたら、ショーンも笑い返してきたんだ。
驚いたよ。
聞いたら、さぼりだってことだったんだから。

自分達は、そこで一緒にお茶を飲んだんだ。
ショーンは、宝探しの本を読んでいた。
知ってるかい、世界には、様々な財宝が眠っているという話が、沢山あるんだよ。

例えば……ナポレオンの財宝がある湖に投げ込まれたとか、ソロモン王の秘宝がどこぞの神殿に隠されているとか。
大体、そういうのは湖とか、地中にあるっていうことが多いな。
そして、財宝を狙う者の手を逃れるために、罠がしかけてあるんだ。

あるいは、入り組んだ迷路を作って、その奥深くに隠したりとかな。
うう、想像しただけでぞくぞくするよ。
葉子ちゃんはどうだい?
1.ぞくぞくする
2.おじさん、興奮しないで