晦−つきこもり
>五話目(鈴木由香里)
>E6

なーんだ、私の気のせいか?
だったらいいんだ。
……なんて、いうと思う?
葉子は考えてることが、全部、顔に出るからね。
だいたい、思ってることはわかるよ。
私の考えも似たようなもんだし。

だけど、それは決して口にしちゃ駄目。
何の根拠もないんだからさ。
いい?
私や葉子と同じように考えた雑誌の記者が一人、行方不明になってるんだよ。
もう生きてはいないと思うな。
根拠はないけど、私の勘がそういってるんだ。

さあ、終わり終わり。
これ以上続けてると、葉子がどんどん怖い考えに走りそうだからさ……。

岡本さんが、旦那さんを殺して骨格標本を作った……。
そればかりか、そのことに気付いた記者まで殺してしまった……。
なんて、頭の片隅ででも考え出さないうちに。
次へ行こう。


       (六話目に続く)