晦−つきこもり
>五話目(藤村正美)
>A6

ええ、彼女もそう思ったのですわ。
更紗ちゃんは、病気を治してほしくないのだと。
今のままなら、やさしい恭介さんの愛情を、独り占めできますものね。
そう思うと、なんだか腹が立ってきました。

彼女は、頼まれたからこそ、この屋敷に来たのですわ。
それなのに、そんなわがままで嫌がらせされるなんて。
怒りって、パワーを招くんですのね。
あんなに体が重かったのに、彼女はガバッと起き上がったのですわ。

ひとこと、文句をいってやらなければ、気が済みません。
彼女はドアを開けました。

ところで葉子ちゃん、さっき説明した、建物の配置は覚えていますわよね。
ドアを開けて、正面に見えるのは、誰の部屋だったかしら?
1.更紗
2.恭介