晦−つきこもり
>五話目(藤村正美)
>D11

まあ、当たりですわ。
そして彼女は、お金持ちになりました。
めでたし、めでたし…………ということには、ならなかったのですけれど。
お金を持ち帰った彼女は、黙って使おうとしたのです。
ところが、あっけなく警察に捕まってしまったのですわ。

そのお金の札番号が、控えてあったからです。
そう、犯罪に使われたお金だったらしいのですわ。
詳しいことは知りませんけれどね。
何でも、非常に腕の良かった外科医が、持ち逃げしたお金……なんですって。

その医師には、年の離れた、病弱だけれど可愛らしい妹がいたそうです。
彼女は、お金をどこで手に入れたか、厳しく追及されました。
現場検証にも連れて行かれたそうですわ。
でも、二度とあの屋敷を見つけることは、できなかったんですって。

彼女は、今でも刑務所に入っていますわよ。
さあ、これで私の話を終わりますわ。
次の方、どうぞ。


       (六話目に続く)