晦−つきこもり
>六話目(山崎哲夫)
>G12

「おおう、本当に触るのか。葉子ちゃんは勇気があるね」
哲夫おじさんは、私の手の上に石を乗せた。
なんだか、生暖かい。
おじさんの体温が移っているのね。

「……どう? 何だか、生暖かいような気がしないかい?この石には、何かが取り憑いているんじゃないだろうか」
哲夫おじさんったら。
暖かいのは、おじさんの体温でしょ。
「はあ……」
返事をにごして、石を床に置く。

……あ。
あれ?
今、石がひとりでに動いたような……。
「私にも見せて!」
由香里姉さんが、石を手に取る。

何だろう。
なんだか、嫌な予感がする。
「みんな、これからどうする?」
哲夫おじさんが、周りを見回した。

そうだわ。
みんな、一通り話し終わったのよね。
さあ、これからどうしようか……。


       (七話目に続く)