晦−つきこもり
>六話目(鈴木由香里)
>L12

「嫌よ! 絶対に嫌!!」
思わず大きな声を出しちゃった。
だって由香里姉さんたら、ひどいこというんだもん。
由香里姉さんは知らないだろうけど、私には、ちゃーんと好きな人がいるんだから。

由香里姉さんは、私の声の大きさに一瞬びっくりしてたみたい。
だけど、すぐにまたいつもの笑みを浮かべて、こういったの。

「葉子はそういうけどさぁ……。私には、なんとなく彼らの行動がわかるんだ。あの日……いつまでもUFOを見送ってたせいかなぁ。
時々、自分じゃない人たちの漠然とした感情が伝わって来るんだよ。たぶん、彼らのものだと思うんだ。きっと意識が同調しちゃってるんじゃないかな……」

「由香里姉さん、それって……?」
「わからない? 私には彼らの居場所がいつでも掴めるってことよ。
こうやって目を閉じて意識を集中するでしょ?」
そういって由香里姉さんは目を閉じ、深く息を吸い込んだ。
いったい何が起きるっていうのかしら?

彼らの居場所がわかって、どうするっていうの?
みんな、じっと押し黙って由香里姉さんを見つめてる。
すると突然……!
「来たわ!!」
って、由香里姉さんが叫んだ。
そして、次の瞬間……!
障子の外から、まぶしい光線が差し込んできたの。

あまりのまぶしさに目を開けてられない!
何なの! この光は……!?


       (七話目に続く)