晦−つきこもり
>六話目(鈴木由香里)
>M12
……そうなの?
じゃあ、ちょっとだけ……、恥ずかしいから小さな声でね。
「……風間様はステキでうっとりしちゃう…………」
さぁ、ちゃんといったわよ。
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?
何よ、何にも起こんないじゃない?
<いやー素直な子はいいねぇ。本当に、こんな素直な子は久しぶりだ>
ちょっと、待ってよ!
それって、どういうこと!?
<ふっふっふっふっふ…………>
……奇妙な声は、偉そうな笑い声だけを残して、ぷっつりと跡絶えちゃった。
ひどいわ、私のことからかってたのね!
「葉子、葉子! ……あんた大丈夫? なんだかブツブツ独り言いってたけど」
「え? 平気よ。心配しないで」
さすが由香里姉さん……、地獄耳なんだから…………。
でも、あの声……。
風間って名乗ってたけど、本当に忍者なのかしら?
どうもうさんくさいような……。
「ま、葉子がそういうんならいいや。とにかく、これで話は終わりだよ。次は……」
その時…………!
ふいに、障子の外からまぶしい光線が差し込んできたの。
何なの! この光は!?
その光は、すぐに消えてしまったわ。
「誰か来たのかしら?」
和子おばさんは、襖を開けて廊下の様子をうかがってる。
今の光……。
どうやら、車のライトだったみたいだけど……。
一人、ニヤニヤと笑っているのは由香里姉さんだけ……。
「あ、ほら。玄関の開く音がする。
やっぱり誰か来たんだよ」
確かに、誰か来たみたい。
でも、いったい誰が……?
(七話目に続く)