晦−つきこもり
>六話目(鈴木由香里)
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ビデオカメラマン……?
ヤダ、そんなの。
私さぁ、もっと楽しめるバイトっていわなかったっけ?
カメラマンなんてやってたら、ちっとも食べられないし、遊べないじゃん。
私がやったのは、招待客のフリ。

いわゆるサクラってやつ。
テレビのお笑い番組なんかじゃ、けっこう使ってるよね。
泰ニイなら知ってんじゃん?
一般の観客に紛れて、笑ったり、拍手したりする人。
まぁ、番組を盛り上げる一つの手段ってとこかな。

もっとも、テレビ番組のサクラなんて、さんざん待たされるしギャラは安いしで、私はめったにやんないけどね。
その点、結婚式のサクラっていうのは、超おいしいバイトなんだよ。
『友達がいなくて、体裁が悪いから……』
とか、

『お見合いの時、有名私立大卒って嘘をついてて……』
って理由で、私たちサクラにお呼びがかかるんだけどさぁ。
私の場合、『育ちのいい花嫁の御学友』って設定が多いかな。
……お嬢様ってガラじゃないんだけどね。

お祝いだからギャラもはずんでもらえるし、おいしいご馳走も食べられるし、その気になればカラオケだってOK。
まさに、楽してもうけるって感じ?
それに花嫁修業中の私にとっては、充分、社会勉強にもなるんだよ。

どう、葉子もやりたくなったんじゃん?
1.うん
2.ううん