晦−つきこもり
>六話目(藤村正美)
>P8

……迷ったけど、やっぱり謝らないことにした。
だって、本当に気にならないんだもの。
私が黙っていると、正美おばさんは立ち上がって、部屋を出て行ってしまった。
良夫が私を、横目で見る。

「あーあ。葉子ネエのせいで、しらけちゃったよ」
「何でよっ」
いい返そうとした私は、泰明さんの視線に気づいた。
ええっ……泰明さんまで、私のせいだっていうの?
そんなあ。
私は、正直にいっただけなのに。

みんなが、私を見てる。
良夫と違って大人だから、何もいわないけど……。
それでも、きっと私のせいだと思ってるんだわ。
せっかく泰明さんに、久しぶりに会えたのに、なんてついてないの。
もう……法事になんて、来るんじゃなかった。

私は、こっそりため息をついた。


すべては闇の中に…
              終