晦−つきこもり
>六話目(藤村正美)
>W2

そう、本当に?
……うふふ、まあいいでしょう。
ところで、私の勤務している病院の話は、したことがあったかしら。
国道沿いの総合病院で、あの辺りでは一番大きいんですの。

そんなことを聞くと、いかにも近代的な、最新テクノロジーの塊のようなものを思い浮かべるでしょう。
けれど、それがそうでもないんですわ。
結局のところ、どんなに科学や医学が進歩しても、人間なんてそう変わらないってことではないでしょうか。

うちの病院でも、未だに七不思議なんてものが、ささやかれているんですもの。
例えば、『夜中になると歩き回る、足だけの幽霊』とか、『白衣を着た男の姿の座敷わらし』がいるとか。
その一つに、『死を招くベッド』というのがあるんです。

つまり、そのベッドをあてがわれると、必ずその患者は死んでしまうという……。
まあ、よくある話ですわよね。
あら、葉子ちゃんたら、そんな顔して。
もしかしたら、今の話を馬鹿にしたんじゃありません?
1.馬鹿にした
2.馬鹿にしていない