晦−つきこもり
>七話目(前田和子)
>C23
もう一度お願いしてみよう。
「和弘さん、助けてください……」
「…………」
駄目だわ。
和弘さんは、返事をしてくれない。
お札からナイフを抜き、私に振り下ろした。
視界がかすむ。
息ができない。
続いて、激しい痛み。
……私は、床に崩れ落ちた。
「葉子ちゃん、ごめんな。でも、もう引き下がれないんだ」
和弘さんの声。
……ひどい。
こんなことをしても、不幸になるだけじゃない。
和弘さんが、走り去る音がした。
頭の中で両親の顔が、一瞬浮かんで消えた……。
すべては闇の中に…
終