晦−つきこもり
>七話目(前田和子)
>Q11

焦って、転げ落ちないようにしなきゃ。
私は、わざとゆっくり石段を下りた。
足が震える。
どうしよう。
こんな進み方じゃ、追いつかれてしまうかも。
……背後から、足音はしなかった。

このまま、ゆっくりしていても大丈夫かしら?
私は、深呼吸した。
その時、何かの手が口にまわされ、息ができなくなった。
しまった!!
油断していたから……。
早く逃げればよかった!!
ナイフが、私の背につき刺さった。

もう、後は何も考えられない。
体が傾き、石段から落ちていく。
最期に見た夜空は、深い闇に閉ざされていた……。


すべては闇の中に…
              終