晦−つきこもり
>七話目(山崎哲夫)
>I3

そっか、ヒツジを数えればいいんだ。

ヒツジが一匹……。
ヒツジが二匹……。
ヒツジが三匹……。
ヒツジが四匹……。
ヒツジが五匹……。
ヒツジが六匹……。
ヒツジが…………。

……………………………………… ……………………………………… ……………………………………… ………どれくらいの時間が過ぎたのかしら。
ヒツジの数は、もう二万八千九百五十六匹になってた。
ずーっと羊を数え続けたけど、やっぱり眠れなかったわ。

ふと気付くと、障子の外が明るくなってるじゃない……!
えーん、けっきょく一睡もできなかったよーーー!!
ふと、部屋の隅の鏡を見ると……。
きゃーーーーーっ!!
ボサボサの髪……。
腫れぼったいまぶた……。

黒く縁取られた目の下のくま……。
そこには、見るも無残な私の顔が映ってた…………。
怖い話って……。
このことだったの…………!?


      (ノーマルエンド)