晦−つきこもり
>七話目(鈴木由香里)
>P4

<ムッ、人のせっかくの好意を無にするとは……。よし、これで君に与えた質問のチャンスは終わったね。じゃあ、僕はもう帰るから。
せいぜい気を付けてくれよ>
……そういって、この不思議な声はパッタリと止まったの。

おそるおそる目を開けると、もう、さっきの強烈な光は見えない。
その代わり…………。
私の目に映ったのは、ギラギラと目を輝かせたみんなの姿と……。
その背後にうごめく無数の黒い影……。

驚きと恐怖で身動きできない私に、また例の声が語り掛けてきた。
<そいつらは、君たちの話に引かれて集まって来てた無数の死霊たちさ>
……死霊?

<残念だが、君たちはもう助からないよ。死霊にとり憑かれ、地獄に引きずり込まれるんだ。あーあ、せっかく助けてあげようと思ってたのにさ……>
……お、お願い。
そんなこといわないで……。
<おっと、いけない。これからコーキュー星人のキリちゃんとデートなんだ。じゃ!>

……そんなぁ。
それっきり、二度とその声は聞こえてこなかった……。
黒い影に飲み込まれながら……。
私は、ぼんやりと、謎の声の主が宇宙人とデートしてる姿を想像してた……。


すべては闇の中に…
              終