2023-11-15 (23:11)
一年は年末であり、世界は深い夜の底で誰もがじっと。それはずっと前からそうであったのに、入口の看板を付け替えただけで何かが変わるわけじゃないし、必要だったのは出口だったのかもしれないんだ。
2023-10-10 (16:20)
かつて近未来のカーレースのようなものとして提示されたそれは、三十余年の時を超えて近未来のボートレースのようなものとして提示された。我々はまたも逃げたり追ったり捲ったり差したりしている。
2023-10-01 (10:02)
雨のそぼ降る日曜日の朝は静か。返却し忘れて延滞の付いた夏もようやく気配を感じなくなった。きっとまだ、という言葉も、きっとまた。
2023-09-14 (21:21)
人間は歳を取る。とか言っちゃったけど実のところ動物は皆そうだし、たぶん植物も鉱物も宇宙も歳を取るのだ。過ぎゆくままにあるがままであるかどうかくらい、宇宙の猫だってちゃんと知っているさ。
2023-09-06 (23:16)
いつも間違いに気づいているけれど、正しい答えを思いつくわけでもないので、空白を埋めるだけの作業に没頭するのだった。部分点は銀のエンゼルじゃないんだけどさ。
2023-09-03 (14:53)
虫の音は網戸越しに、花火はフェンス越しに、君との会話はスマートフォン越しに。そういえばもうブラウン管なんてどこにも見かけないよな。
2023-08-30 (21:53)
物価が高騰したり地球が沸騰したりUFOが飛来しなくても夏はループせずに残りを残して終わりに向かうのだった。
2023-08-12 (17:13)
冷し中華の麺を茹でる。世界が沸騰しているとニュースが言う。世間の夏は凝りもせず騒がしい。いちばん静かな夏はいつかの過去にあったのか、それとも未来に待ち受けているのか。
2023-08-07 (17:52)
あまねく隅々にまで人工の光を行き渡らせようとした結果として、より深く消し難い影が刻まれた。そして僕らは影の下に寄り集まって、眩しいね、と。
2023-07-26 (21:42)
今年もまた暑くなったね、と叙述トリックでも思いついたように言い合うだけで、きっとこれはもう解決なんてしないのかもしれない。