学校であった怖い話
>一話目(福沢玲子)
>B4

まずいなって感じて、逃げようかと思ったんだ。
でも、目があっちゃったでしょ。
逃げてもしょうがないわよね。
それに、友達だもん。

「早苗ちゃん!」
私、思わず、彼女の手を握ったの。
びっくりするほど冷たかった。
まるで、死人みたいだった。
私、思わず手を放しそうになったの。
そしたら、早苗ちゃん、私の手を強く握りしめるのよ。
私、もう泣いちゃいそうだったよ。

「玲子ちゃん、こうしてて。私の手、握っててね」
焦点のあわない虚ろな目で、そういうのよ。
私のことを見てるんだけど、私のことを通りすぎて後ろのほうを見てるような目だったわ。

私、催眠術にかかったみたいな気分で、言われるがまま頷いてた。
早苗ちゃんの手は、だんだんと暖かさを取り戻していったわ。
目もだんだんと焦点があって、しっかりしていった。

そしたら、いきなりうつむいちゃうのよ。
私も、なんて言っていいかわからなくて、黙ってた。
何だか、気まずい雰囲気だった。
「玲子ちゃん、見ちゃった?」

私、びっくりしたよ。
突然、早苗ちゃんたら、そんなこというんだもん。
なんて答えていいかわかんなくなっちゃって……。
1.見たと答える
2.見なかったと答える