学校であった怖い話
>一話目(福沢玲子)
>B5

嘘をついても、何だかばれそうな気がして……。
私、正直に答えたんだ。
「あれ……何なの? 早苗ちゃん、自分でわかってたの?」

早苗ちゃんは、上目使いに私を見ると、またうつむいちゃった。
「……うん。あれね、おばあちゃんなの」
「おばあちゃん? あれ、早苗ちゃんじゃないの?」

「私じゃないよ。おばあちゃんなの。おばあちゃんね、三年前に死んじゃったんだよ。それからね、私の中にいるの。時々、ああして出てくるの」

早苗ちゃんは、うつむいたまま、そう言ったわ。
私、なんて答えていいか、わかんなかったよ。
「おじいちゃんもいるんだよ。それから、お父さんのお姉さんや、お母さんのお父さんや、いろんな人が私の中にいるんだよ」

早苗ちゃん、そんなこともいうんだよ。
私、ただ黙って頷いてた。
何だか、茶化したり馬鹿にしたらいけない気がして。
まじめな顔で、
「うん、そうだね、そうだね」
って、答えたよ。

「でね、おばあちゃんたちは、私にいろんなことを教えてくれるの。試験のこともそうだし、あしたの天気とか、いろんなこと。……みんなが私のことをどう思ってるかも」

私、ドキッとしたよ。
変なこと思ったら、それがみんな早苗ちゃんに伝わっちゃうんだよ。
「……怖がらないでね。玲子ちゃん、いいお友だちだよ。これからも、お友だちでいてね」
私、すぐに答えたよ。
「うん」
って。

それで、まだ体育の授業が終ってないからって、さよならしたの。
早苗ちゃんは、まだ教室で休んでるって残ったの。
ね?
変な子でしょ?
……早苗ちゃんとは、今でも仲いいよ。
相変わらずあの調子だけど、いい子だしね。

そうそう、これは内緒だけどね。
あれから、試験の問題とか教えてくれるの。
おばあちゃんに聞いたって言って。
それが、ぴたりと当たるんだよね。

でも、嘘みたいな話でしょ?
あなた、信じられる?
1.信じる
2.信じない
3.何とも言えない