学校であった怖い話
>一話目(福沢玲子)
>K3

「お尻」のことでしょ?
そんな言葉、枕カバーに入れてどうするのかしら。
何だか怖いと思わない?
早苗ちゃん、気分悪くて保健室に来たはずなのに、「ケツ」なんてらくがきを枕に入れるなんて……。

お尻の夢でも見たいのかしら?
それが本当なら、こんな怖いことってないわよね。
………。
でも、違ったのよ。

あはは……。
ちがうって分かった?
教えてあげる、「ケツ」ってね、……。
「おしり」って意味だったの。
あーっはは、ははは……。
冗談、冗談よ。
怒らないで。

だって、ほんとに怖い話なんだよ。
少しくらい、
場を明るくしなきゃね。

じゃ、話すよ。
私、その時は「お尻なんて……」とか思ってたんだけど、早苗ちゃんがすごく青い顔してたから、心配になって、探しに行ったの。

でも教室に行ってもいないし、体育の授業にも戻ってないようだったしね。
どうしようかなって廊下をうろうろしていたんだ。
そしたら、化学室から、音が聞こえてきたの。

カツン、コツン、……って。
化学室では、その時間授業はしてなかったの。
だから何だろうと思って、覗いて見たら……。
早苗ちゃんがいたの。

早苗ちゃんが、なんだか分からない粉末の入ったビンを棚から出して……。
ビンに中指を入れてね、ちょっとかき混ぜて、
指についた粉をなめたの。

何だろうって思ってたら、早苗ちゃんはフラフラと、化学室を出てどこかへ行ってしまったの。
今の、なんの薬……?
薬品棚って、劇薬も多いじゃない。

私、早苗ちゃんがなめた薬品を探してみたわ。
早苗ちゃんがゴソゴソやってた薬品棚の奥の方から、その形のビンを探したの。

ビンの中には、茶色の粉末が入っていて……。
ラベルはついていなかった。
それで私、どうしたと思う?
1.ビンの中身をなめてみる
2.ビンを先生の所に持って行く