学校であった怖い話
>二話目(新堂誠)
>A1

俺が二話目か?
よし、それじゃあ話すとするか。
俺の名前は新堂誠。
よろしくな。
ところで、お前は『飴玉ばあさん』の話を知ってるか?

飴玉ばあさんってのは、昔、よく生徒通用門の前で立ってたおばあさんのことでな。
五、六年前までは、いたらしいぜ。
結構、有名だったんだってよ。
俺も、先輩から聞いた話だからな。
実際に見たわけじゃない。
先生とかは、まだみんな知ってるんじゃないか?

その飴玉ばあさんってのはよ、まるでホウキにまたがった魔法使いのような出で立ちだったんだ。
真っ赤なフード付きのローブを、夏でも冬でもかぶっててな。
大きなワシ鼻には、豆のように巨大なイボがついてるんだ。
あごは三日月のようにとんがってて、顔中しわだらけ。

笑うと、歯がほとんどない口に、異常に長くて赤い舌が見え隠れするそうだ。
片手にはゴツゴツした木の杖をついていて、もう片手には大きなバスケットを下げている。

な?
童話に出てくる魔法使いのばあさんのようだろ。
けどな、そのばあさん、見かけは怖いけれど、優しいんだと。
門の前に立ってて、気に入った子や寂しそうな一人ぼっちの子を見つけると、近寄ってくんだ。

そして、がい骨のような皮と骨だけの手に下げた、ぼろぼろの薄汚れたバスケットいっぱいに詰まった飴玉を一つ、あげるんだよ。
それで、飴玉ばあさんという仇名がついたんだな。

その飴が、メチャクチャうまいんだってよ。
ゴルフボールほどの大きさで、頬ばったら口いっぱいに広がる大きな飴玉なんだけど、そのうまいことといったら……。
口中とろけてしまうというか、時間を忘れてしまうというか、甘すぎもせず、かといって物足りなくもない。

適度に調和された、うまさのハーモニー。
考えただけで、よだれが出てきそうだな。
いや、俺も食ったわけじゃないんだけどな。
あくまで噂なんだけど、うまそうだろ?

お前も、食ってみたいと思うか?
1.食べてみたい
2.あまり食べたくない