学校であった怖い話
>二話目(岩下明美)
>J8

ただでさえ不気味なのに、そんなわけのわからないものに近づけるわけないわ。
坂上君は逃げたわ。
腰が抜けそうなのを我慢して必死で逃げた。
けれど、どんなに前に進もうと、廊下は終わってくれなかったの。

息が切れるほど走って、走って、走り抜いて、とうとうその場にへたり込んでしまったわ。
苦しくて、喉が詰まりそうだった。
息を吐くたびに、一緒に心臓が吐き出されてしまいそうなほど、激しく咳き込んだわ。
それでも、自分の位置は変わらなかった。

まるで、ベルトコンベアーの上を、逆に走っている気分。
突然、後ろで音がしたの。
がさがさって何かが動く音。
彼は、全身から汗がにじみでるのを感じたわ。

……どうしたの?
あなたの顔、汗がにじんでない?
別に、あなたの話じゃなくてよ。
これは、もう一人の坂上君の話だから。
あなた、振り向いてみる?
1.振り向く
2.振り向かない