学校であった怖い話
>三話目(新堂誠)
>E8

そう、たまたま用事ができて行けなかったんだ。
奴はそのことがえらく悔しくてな。
次の日例のノートに、バスケへの情熱や、その時の気持ちをいろいろ書きまくったんだ。

すると先輩は、奴がノートに書いた内容について、色々アドバイスをしてくれた。
田所は、感動したね。
先輩は、僕のことをなんでもわかってくれる、親身になって考えてくれる……。
そう思ってな。
それからの田所は、どんな用があろうと先輩の元に通いつめた。

それが日曜であろうともだ。
そんな日が続いて、田所はだんだんと不満が募り始めた。
話すだけでは我慢ができなくなってきたのさ。
こうして理解しあえる相手がいるのに、何も行動できない。
そして、あのノートに書いてあったことを思い出した。

先輩は、助けてくれると言ったのだ。
だったらすぐにでも助けてほしい。
そしてその夜、田所は声に頼んだのさ。
自分を助けてほしいって。

「そうかい。……僕にできることは限られているから。でも、君って僕とそっくりだしな。助けてやってもいいな。……うん、助ける価値はあるよ」
「本当ですか、先輩!」
田所は飛び上がって喜んださ。

「……ああ、本当だ。でも、助けるんだったら、姿を見せないとね。今から、君の前に現れるから、僕がいいというまで目をつむっていてくれないか?」
「はい。わかりました」

田所は、目をつむった。
どっちにしろ暗闇なんだ。
何も見えやしない。
けどな、気配は感じるんだ。
何かが、目の前に現れた気配は、全身で感じられた。

寒気っていうのかな。
寒くもないのに、全身が震えてくる感覚。
確かに、何かが目の前に現れたんだ。
「……もういいよ」
耳元で声がした。

今までの、どこから聞こえてくるのかわからない頼りない声じゃなくて、はっきりと耳元でささやく声。
さあ、目を開けるべきか?
1.目を開ける
2.もう少し目を閉じている