学校であった怖い話
>三話目(新堂誠)
>H6

近いけど違うな。
そこに書かれていたのは、田所に似たような奴の話だったんだ。

最初は、いかに自分がバスケットを愛しているかが書かれていた。
バスケットに対する情熱、そして効果的な練習方法や食生活までいろいろと研究されていた。

田所は、それに感銘を受けた。
自分と同じようにバスケットが好きで好きでたまらなかった先輩が、昔この部室にいたことにな。
それが読み進むうちに、だんだんとおかしな方向に話が進んでいくじゃないか。

自分がバスケットを愛する気持ちを周りは理解してくれないとか、ほかの部員たちが自分と同じ意識を持ってくれないとか、そういう不満や愚痴になっていったんだ。
さらにそれは、部員や先生をののしる恨みの言葉や、やるせない怒りに変わっていったのさ。
それは、まさに今の自分と同じ心境だった。

「僕と同じ思いをした先輩がいたんだ……」
田所は、時が過ぎていくのを忘れ、そのノートに読みふけった。
そして、ノートの終わりは、自分が体育館で自殺をし、みんなに復讐するという言葉で締めてあった。
さらに……。

『P.S.自分と同じ思いを持つ同士よ。もしこのノートを読むことがあれば、僕は君を助けたい。夜中の二時に、体育館で助けがほしいと呼んでくれ』
そう書いてあったのさ。
その時の田所の衝撃ったらなかったさ。
そして同時に、喜びに打ち震えたよ。

このノートを書いた人に会いたくて会いたくてたまらない。
そして、会えれば自分の悩みも解決するに違いない。
そう信じて、やまなかった。
田所は、もう完全にそのノートは自分のために存在するんだと思った。
もう、ノートは田所のものさ。

それで、奴は体育館に行ったのさ。
当然のことだよな。
でも、信じられるか?
相手は死んでるんだぜ。
しかも、見ず知らずの奴だ。
わざわざ夜中の学校に忍び込んでまで、そんな奴に会いたいなんて、俺は思わないね。

まあ、サイコ野郎の田所だから思ったのかもしれないけどよ。
夜中の二時きっかりに、田所は体育館に行った。
そして、バスケット・ボードの下で叫んだのさ。

「助けが欲しいんです! 僕と同じ思いをした先輩! どうか、僕を助けてください!」
……どうなったと思う?
1.先輩の霊が出てきた
2.声だけが聞こえてきた
3.恐ろしくて僕には想像もできない