学校であった怖い話
>三話目(新堂誠)
>A7

そう思うか?
まあいい、続きを話してやろう。
田所は、心の底から先輩に会いたいと願ったんだ。

すると、どうだ。
「……嬉しいよ。こんなに早く、僕を呼んでくれる人がいたなんて……」
何と、声が返ってきたじゃないか。
けれど、姿は見えない。
田所は辺りを見回した。
辺りが暗いせいか、何も見えやしない。

田所は、電気をつけようとスイッチに手を伸ばした。
「つけないで!」
その声は言った。
姿を見られたくないのかもしれない。
そう思い、田所は伸ばした手を引っ込めた。
姿は見えない。

それでも、田所は嬉しかった。
自分と同じ思いを持った人間に出会えたんだからな。
……おっと、人間じゃないな、幽霊だ。

それからしばらくの間、真夜中の体育館で二人は話し合ったのさ。
どれだけ自分がバスケットを愛しているか。
そして、それがどうしてほかの人間に理解されないのかをな。

「わかるよ、君の気持ちは……。痛いほど、わかる。手に取るようにわかるよ」
姿なき声は、田所に同情した。
そして、自分がどんなに悔しい思いをしたかも伝えた。

「わかります、先輩。さぞかし悔しかったでしょうね。もし、その時僕がいたら、絶対に力になれたのに。先輩を助けてあげられなかったと思うと、悲しくて仕方ありません」

二人は、朝方まで話し合った。
そして、朝日が昇るころ、声は言った。
「……さあ、今日はもう帰るんだ。僕も帰らなければならない。もしよければ、いつでも来てくれ。僕にできることは限られているけれど、少しずつ力になりたいから」
「ありがとうございます、先輩!」

そして、声は消えた。
田所は嬉しくて仕方なかった。
まるで、心の友ができた気分さ。
人生の師といっても、言いすぎじゃないだろうな。

そしてまた、夜がきた。
田所はどうしたと思う?
1.その夜も体育館へ行った
2.その夜は、なんとなく行かなかった
3.その夜はたまたま用ができて行けなかった