学校であった怖い話
>三話目(新堂誠)
>N4

まあ、最初はそうだったみたいだけどな。
川口の親父は昔、短距離の記録保持者だったそうだ。
川口が陸上を始めたのは、父親の影響だったんだよ。

最初は嫌々やっていたようだが、奴には才能があったからな。
数々の記録を打ち立てていくうちに、真剣に短距離走に取り組むようになったって話だ。
だから、田所がいくら勧誘しても、川口の気持ちは変わらなかったんだ。

それでも、田所は必死に食い下がった。
ほとんど、恋人のように川口のそばにくっついて離れなかったのさ。

いい加減、バスケ部の連中も、田所のやり方にはあきれていたよ。
それで、一人、二人とバスケ部をやめていってしまった。
もともと、あまりバスケが好きじゃなかったのかもな。

そんな奴らに、田所だって未練はない。
もう奴の頭には、川口のことでいっぱいだったからな。
まるで、川口一人を手に入れれば、それで優勝が決まったようなつもりでいたのさ。

それでも、そんなの現実的じゃないよな。
そして、それとなく田所の噂は先生の耳にも入るようになった。
実際、部員も次々とやめているし、練習にはキャプテンが出てこないで、川口の尻を追っかけ回してる。
そして、ついに田所はキャプテンを辞めさせられたのさ。

それが当たり前の話なんだけど、田所には理解できなかった。
自分がこれほどバスケットに情熱を注いでいるのに、どうして誰もそれを理解してくれないのか、不思議でならなかった。
ま、歪んだ情熱って奴だな。

こういう奴は、怒らせると本当に怖いぜ。
どうしたと思う?
1.先生に文句を言いに行った
2.新しくキャプテンになった奴に嫌がらせをした
3.バスケ部を辞めることにした