学校であった怖い話
>四話目(新堂誠)
>A5

「う、埋めちまおうぜ」
畑中は、鬼気迫る顔でぼそっと呟いたんだ。
みんな、心配して畑中の顔を見た。
けれど、確かにそれ以外方法はないかもしれない。

その夜、みんなが寝静まったあと、赤坂の死体を埋めたのさ。
こっそりとな。
とても、逃げ出すどころじゃなかった。

「赤坂はどこ行った!」
先輩の声がしても、みんなは素知らぬ顔で首を傾げるばかりだった。
「……あいつ、つらそうだったから。きっと逃げたんじゃないすか?」
それで、誰もが納得した。
最初から、脱落候補に入っていたんだからな。
中には、嬉しそうにうなずく先輩もいたほどさ。

まったく、いい気なもんだよな。
そのあと畑中たちはというと、ばれるのが心配で、びくびくしながら合宿を過ごしたのさ。
それが幸いしてか、なんと畑中たちは、地獄の合宿を乗りきっちまったんだ。

災い転じて福と成す……っていったっけ?
あのことわざ通りだ。
合宿を乗り切ればもう一人前さ。
今まで虫けら同然だった一年生もようやく人間として認められる。

そして、彼らもまた自信がつく。
だから、めきめき強くなる。
何だかんだいっても、あの合宿は確かに効果はあるんだよな。
でも、赤坂の一件は問題になったぜ。

合宿を逃げ出したにしても、家に戻っていないんだからな。
捜索隊も出された。
けれど、見つからなかった。
畑中たちは、死体が見つかったらどうしようか、不安で仕方なかった。
それでも、何も見つからず捜索は打ち切られた。

そうなると、もう畑中たちはいい気なもんさ。
赤坂のことなんか、すぐに忘れちまった。
……そして、一年が過ぎたんだ。
畑中たちは、二年になっていた。

今度は、自分たちが一年生をしごく番だ。
今までの憂さを晴らすように、強烈にしごいた。
しごく番になって、しごきがこんなに楽しいものだったのかと、痛切に感じたんだ。
今まで苦しかった部活が、途端にバラ色に変わったのさ。

そして、恒例の夏合宿が近づいてきた。
でも、それと同時に、赤坂の記憶が再び蘇ってきたのさ。
合宿に行くとなると、あの場所だ。
赤坂が埋まっているあの場所に行かなければならない。
「どうする、亨。お前、合宿に行くのか?」

あの時の仲間は、誰もが不安そうだった。
どうだ?
畑中は合宿に行ったと思うか?
1.行った
2.行かなかった