学校であった怖い話
>四話目(荒井昭二)
>L2

そうですか。
ならば、やはりこの話をするしかないでしょうね。
……実はね、あの宿泊施設には、出るんですよ。
何がって?
あなた、聞いたことありませんか?

逆さ女ですよ。
ベッドで寝ている人を覗きこむ、逆さ女という妖怪が出るんです。
彼女は、頭を下にして長い髪をたらしながら、ベッドで寝ている人にある質問をするんです。
どういう質問をするかって?
それは……おいおい話していくとしましょう。

あれは、去年の夏のことでした。
僕が入ったサッカー部は、夏になるとあの宿泊施設で合宿していたんです。
え、僕が、サッカー部に入っていたなんて意外ですか?
僕はね、仲がよかった友達に誘われてサッカー部に入ったんですよ。

別に、スポーツをして体を鍛えようなどとは思いませんでしたけれどね。
友達の話を聞いているうちに、興味を持ったというわけなのです。
その友達は、袖山勝君っていったんですけれどね。
サッカー部の合宿は、大変きついものでした。

僕と袖山君は、お互いをはげましあいながら、辛い練習に耐えました。
それでですね、袖山君は、合宿中に逆さ女にあってしまったんですよ。
僕も、この事件があってから初めて逆さ女のことを知ったんですけれどね。
蒸し暑い夜の事でした。

宿泊施設には冷房も網戸もありませんでしたから、暑い中に蚊が飛び回って最悪の環境でした。
そこで、疲れた身体を固いベッドに横たえるのですから。
もう、さんざんなものです。
袖山君は、夜中に寝苦しくて目覚めてしまいました。
すると……。

逆さ女が、現われたのです。
彼女は袖山君のベッドの上から、覗きこむようにしてじっと彼を見ていました。
そして、こんなことをいったのです。
「起きてしまったんだねぇ。
私と会ったことは、誰にもいうんじゃないよ。
これは、おまえと私の二人だけの秘密なんだからね。

おまえはいい子だろ?
いい子だったら、約束を守れるねぇ?」
1.誰にもいわない
2.何も答えない
3.大声で叫ぶ
4.つきとばす