学校であった怖い話
>四話目(細田友晴)
>C10

「ぎゃあーーーー!!」
僕は、思いきり叫んだ。
僕の叫びにも構わず、個室の内側から打ち鳴らされる音は相変わらず続いている。

このままでは、変になってしまいそうだ。
「そうだ、ここから出ればいいんだ」
僕は、なんて簡単なことを忘れていたんだろう。

僕は、急いでドアに走った。
乱暴にノブをつかみ、それをガチャガチャと引き抜くように回した。
……開かない!
ノブが回らない!
外側から鍵をかけられたように、押そうが引こうが、ドアはびくともしない。

僕は、トイレに閉じ込められてしまった。
「開けてくれっ!」
僕は、大声で叫ぶと、無我夢中でドアをたたいた。

僕の叫びに同調するかのように、個室の内側から打ち鳴らされる音は、さらに激しくなっていく。
「うわあーーーーっ!」
僕は、わけもわからず叫んだ。
……その途端、トイレの中は静かになった。

僕は、全身で息をした。
内臓を吐き出してしまうかと思えるほど、僕は大きく息を吐いた。
……音は止んだ。
今までの音が嘘のように、今度は静寂が押し寄せてきた。

突然だった。
ドアを金づちでたたきつけるような音が響くと、すべてのドアが一斉に開いた。
僕は、首を伸ばして、その中をそーっと覗き込んだ。

……何もいない。
落ち着け。
落ち着くんだ。
僕は何度も自分に言い聞かせた。
落ち着いて、ここから脱出する方法を考えなければ。

落ち着くんだ。
どうする?
1.洗面所で顔を洗う
2.大きく深呼吸をする
3.もう一度ドアのノブを回してみる