学校であった怖い話
>五話目(新堂誠)
>A2

そうか。
俺も、トランプは好きだぜ。
それにしても、あれはよくできてるよな。

たった五十二枚のカードで、あれだけいろんな遊び方があるんだからな。
しかも、一人でも遊べるし、大人数でも遊べる。
場所も取らなきゃ、用意するものもカードだけあればいい。
それで、あれだけ楽しめるんだ。

最近は、ゲームもいろいろ進化したけど、トランプに勝るものは、ないと思うね、俺は。
あれを考え出した奴ってのは、本当に天才だよな。
俺は、まじめに尊敬するぜ。
それに、五十三枚目のカード。
あれが効いてるよな。
ジョーカーって奴だ。

あの存在が、トランプをよりおもしろくしてくれる。
あのジョーカーが入るだけで遊び方の幅がぐっと広がるんだからな。
まさに魔法の一枚だ。
西洋では、ジョーカーを不吉なものと考えているらしいけど、何となくその気持ちはわかるぜ。

ジョーカーなんて、頼りになるときもありゃあ、絶対にほしくないときもある。
ようするに、どんな扱い方もできるオールマイティ・カードだ。
そういう得体の知れないものを人間は本能的に嫌うもんさ。

……なんだ?
どうして、トランプと学校の話が関係あるのかって?
そう、あせるなって。
今から、話を始めるからさ。

俺のクラスに、大倉和雄って奴がいてな。
奴は、実に世渡りがうまいんだ。
世渡りがうまいというか、ちゃっかりしてるっていうか、まあ、はっきりいえば、金にうるさいんだよな。
俺はどっちかっていうと大ざっぱなほうだから、財布にいくら入っているのかもあんまり数えないんだ。

金なんか、気にしていたってすぐに使っちまうだろ?
坂上、お前はどうなんだよ。
金には、きっちりしているほうなのか?
1.きっちりしている
2.あまりしていない