学校であった怖い話
>五話目(岩下明美)
>Q7

そうね、それはいい方法よね。
邪魔者は、二人が午後九時に電話をしあっているのを知っている。
だから、時間をずらせば間違いないわ。

「それじゃあ、三十分早くかけるわね」
「午後八時半か。わかった、電話の前で待ち続けているからね」
二人は指切りして別れたわ。
そしてその夜、午後八時半ぴったりに、矢口さんは電話をかけたの。

「もしもし……」
話しかけた矢口さんの耳に、叫ぶような女の声が聞こえたわ。
「あなた、矢口さんのとこの娘ね!
あなたのせいで、うちの守が大変なことになったんですよ!!」
守というのは、伊達君の名前だわ。

矢口さんが呆然としていると、電話口の声が変わったの。
「……すまないね、家内は今、取り乱しているんだ。君、矢口さんだろう? 私は伊達守の父です」
今度は落ち着いた中年男性の声。
その前のは、お母さんだったのね。

矢口さんは恐る恐る聞いたわ。
「あの……守君、どうかしたんですか?」
「部活で遅くなって……君の電話に間に合わそうと、急いで帰ってくる途中、事故に遭ったんだ」
伊達君が事故!?

矢口さんは受話器を落としそうになったわ。
「意識不明の状態らしくてね。私たちも、今から病院へ行こうとしていたんだよ」
「わ……私も行きます!」
矢口さんは思わず叫んでいたわ。
「そうですか、ありがとう。じゃあ、待ち合わせをしましょう」

伊達君のお父さんはどこを待ち合わせ場所に指定してきたと思う?
1.学校の裏門前
2.家の近くの交差点