学校であった怖い話
>五話目(岩下明美)
>AB6

「ちょっと調べてみるわね」
そういって、矢口さんはポストに手をさし込んだの。
「なにもないみたい……」
そういって抜こうとしたとき。

「ぬ……、抜けない!?」

そう、彼女の手は抜けなくなっていたの。
ポストの穴は、彼女の手よりも大きいのに。
矢口さんは半ベソをかいていたわ。
「矢口さん!」

伊達君が引っ張るんだけど、全然動かない。
それどころか、逆にポストが彼女の腕を飲み込み始めたの。
どんどん飲み込んで、しまいには全身スッポリとポストに入ってしまった。
そして、矢口さんは消えてしまったのよ。

興奮した伊達君の訴えで、ポストを開けてみたわ。
でも、中には普通の郵便物しかなかった。
矢口さんは、結局家出ってことになったみたい。
伊達君もだいぶ問いつめられたらしいけど、本当のこといっても信じてもらえるわけないしね。

私の話はこれで終わりよ。
でも、愛の力ってすごいでしょう。
無機物にさえ、そんな力を与えるんですものね。

私の話は終わりよ。
さあ、どうかしら坂上君?
私のこと、恋人にする決心はついた?
1.ついた
2.つかない