学校であった怖い話
>五話目(岩下明美)
>AC6

「俺が見てみるよ」
伊達君はそういって、ポストに手を突っ込んだの。
次の瞬間、悲鳴が響いた。
伊達君だったわ。

「痛え! 放せよ!!」
見ると、ポストのさし込み口がピッタリと閉じられていた。
ポストが口を閉めたみたいにね。

そして、伊達君の腕を熱い血が伝った。
矢口さんは、あわてて飛びついたわ。でも遅かった。
何かが折れるような鈍い音がして腕が食いちぎられたの。
転げまわる伊達君を見下ろして、ポストはまるで勝ち誇ったように見えたそうよ。

その事件は、単なる事故として扱われた。
無茶苦茶よね。

それからしばらくして、伊達君の一家は引っ越してしまった。
続けて、矢口さんの家もね。
きっと、あることないこと、いいふらす人たちに耐えられなかったんだわ。

……そういえば、そのポストって、通学路の途中にあるんだけどね。
ひとつだけ、わからないことがあるのよ。
食いちぎられた腕なんだけど、ポストを開けてみても、入ってなかったっていうのよ。

それならどこへ消えたっていうの?
異次元かしら……。
とにかく私の話はこれでおしまい。

私の話は終わりよ。
さあ、どうかしら坂上君?
私のこと、恋人にする決心はついた?
1.ついた
2.つかない