学校であった怖い話
>五話目(福沢玲子)
>I6
「じ、じゃあ開けるよ」
僕は、念を押すようにいった。
福沢さんは、黙り込んでいる。
「本当に開けるよ?」
僕は、もう一度確かめた。
「……」
返事はない。
「ねえ、福沢さ……」
「もう、坂上君。早く開けてよ。前置きはいいから!」
彼女は、イラついたようにいった。
内心怖がっているのがよくわかる。
僕は、ゆっくりとロッカーの扉に手をかけた……。
「待って!!」
福沢さんが、僕を制した。
「もう一つのロッカーの方を、先に開けてみない……?」
………どうしたんだろう。
何で、そんなことをいうんだろう。
さっきは、早く開けろといっていたのに。
「ね、お願い。なんだか、嫌な予感がするの……」
彼女は一体、何を考えているんだろう?
僕が今触れている扉を開けたら、どんなことが起こるというのだろう。
「坂上君……」
彼女は、完全に脅えていた。
……あと二つ。
ロッカーは、あと二つだ。
その二つのうちどちらかが、開かずのロッカーかもしれない。
ここまできたら、彼女が不安に思ってわけの分からないことをいいだすのもわかる。
だけど……。
「福沢さん、とにかくこっちのロッカーを開けるよ」
僕は深く息を吸ってから、今触れているロッカーの扉を開けた……。
「………」
そこには、何も入っていなかった。
……………………僕達は、沈黙しながらも最後のロッカーの扉に目を向けた。
さあ、これで最後だ……。
(→この選択肢以外の選択を行う)