学校であった怖い話
>五話目(福沢玲子)
>P7

「福沢さん! 福沢さん!!」
僕は、大声で彼女を呼んだ。
しかし、返事はない。
その代わりに、ロッカーから聞こえてきたのは……。
「ぎゃああーーーっ!!」
彼女の、すさまじい悲鳴だった。

だめだ!
名前を呼ぶだけじゃ、助けられるわけがない!!
ロッカーの中から、ごりごりっと骨が砕けるような、鈍くてこもった音が聞こえてきた。

中で、何かが折れている。
ボキボキと、折りたたむような音がしている。
ロッカーが前後左右に激しく振動した。
「ぐえ……えぇ…………」
胸を締めつけられ、喉から絞り出すような悲痛な呻き声が聞こえてきた。

もはや、福沢さんの声とは思えぬほど変わり果てていた。
でも、間違いない。
これは福沢さんの声に違いない。
「福沢さん! 福沢さん!」
僕は、ロッカーが壊れるほど、力一杯たたいた。
……けれど、それ以上返事はなかった。

言葉の代わりに、ただロッカーの中から不気味な音だけが聞こえてくる。
あれは、何かを食べている音か…?
それとも、何かを潰している音…?
突然、がちゃりと音がした。

そしてロッカーが少しだけ開いた。
それと同時に、あの気味の悪い音がしなくなった。

……どうする?
中を開けてみるか?
僕に中を確かめる勇気はあるか?
1.開けてみる
2.開けない